男性がバイクで中央分離帯に接触!足切断気付かず2キロ走行

 静岡県浜松市の国道1号浜名バイパスで、バイクの男性(54)が中央分離帯接触し右足を切断しながら、気付かずにそのまま約2キロ走行する事故が起きていたことが14日、分かった。停車しようとしたところ、自分の力では立てず、初めて足がないことに気付いたというからビックリ。消防や二輪車関係者らからは「信じられない」との声が上がっている。

 耳を疑うような事故が起きたのは、13日午前6時半ごろ。浜松中央署などによると、浜松市西区篠原町の国道1号浜名バイパス下り線の篠原インターチェンジ(IC)付近にある緩い左カーブで、1300ccの大型バイクを運転していた同市南区の会社員、長田一雄さんが曲がり切れず中央分離帯接触、右足をひざ下10センチから切断した。

 しかし長田さんはけがには気付かないまま、転倒せずに数分間、約2キロ先の坪井ICまで走行した。同ICからバイパスを降りようとして出口手前で停車しようとしたところ、足がないことに初めて気付き、バランスを失ってバイクごと転倒したという。

 事故現場は制限速度60キロで事故多発地帯ではないといい、中央分離帯のコンクリートには接触の際にできたとみられる傷跡が残っていた。長田さんは仲間約10人とともに岐阜県へツーリング中で先頭を走っていた。足切断には後続の誰も気付いておらず、切断が分かった後に仲間が現場に戻り、右足を回収した。

 119番で駆けつけた浜松市消防本部南部消防署の隊員が、救急車で長田さんを市内の病院に搬送。足の損傷が激しく縫合はできなかったが、命に別条はないという。

 同消防署によると、隊員が現場に到着したときには「右足は氷と一緒にポリ袋の中に入っていた」。長田さんの足は引きちぎられたように切断されており、出血は多くなかった。その場で隊員が傷口を布で覆うなど応急処置。長田さんは「痛い」と苦悶(くもん)の表情で話したという。

 関東二輪車協会によると、大型バイクは50代や団塊の世代らに人気といい、事故には「瞬間的なら気付かないかもしれないが2キロとは…。ありえない」と絶句。浜松中央署は接触による痛みが強く長田さんが足の切断に気付かなかったとみている。消防関係者も「痛みの強さで失神することもある。今回は失神まではいかず、痛みを通り越してしまい気付かなかったのでは」と驚いていた。

ハゴロモクリニック(横浜市)、冨名腰文人院長

 「足や腕の切断に気付かなかった例は戦争中にはよくある。腕を吹き飛ばされても気付かないとか、銃撃されたことにあとから気付くとか。ただ、バイク事故では聞いたことはないですね。普通なら大出血している状況だが、今回は切断個所がうまい具合に止血できていた。この点と、運転に集中していたという点が重なって、足の切断に気付かなかったのではないでしょうか」
http://www.sanspo.com/shakai/top/sha200708/sha2007081511.html