焼き肉のタレで助かった!…六甲山で遭難3週間

 焼き肉のタレが命綱―。10月7日に兵庫県の六甲山で行方不明になり、約3週間後に発見された西宮市職員、打越三敬(みつたか)さん(35)=西宮市上之町=が家族に対して「焼き肉のタレと水で生き延びた」と話していることが11日、分かった。打越さんは六甲山頂でバーベキュー大会後、一人で下山している途中で転落したという。

 かばんに入っていた「焼き肉のタレ」が、生死を分けた。

 打越さんは10月7日、神戸市灘区の六甲山頂で西宮市役所の同僚ら15人とバーベキューを行った。終了後、六甲ケーブル六甲山上駅で「切符をなくしたが、お金がないから歩いて下りる」と同僚に別れを告げ、一人だけ徒歩で下山。その後、行方不明となった。

 バーベキュー施設などを統括する「六甲カンツリーハウス」によると、ケーブルカー沿いにある一般道を通ると、通常は2時間ほどで下山できるという。打越さんは下山ルートを探している途中で、足を滑らせて転落、骨盤を骨折。その後、足に凍傷を負うなどして動けなくなってしまった。

 31日に通りかかった登山客が、山中の砂防ダムの堤防内に倒れている打越さんを発見。すぐに神戸市内の病院へ搬送されたが、意識不明の状態が続いていた。

 関係者によると、打越さんらはバーベキュー用に大手メーカーの焼き肉のタレを5、6本持っていっていたという。打越さんは転落して動けなくなった場所で、救助を待ちながら、かばんに残っていた焼き肉のタレと、ペットボトルの水を飲んで、約3週間をしのいだ。タレは大部分使っており、転落時は1つの瓶に半分ほどしか残っていなかったという。

 発見時には呼びかけにも応じられないほど衰弱していたが、救助から1週間後には医師や、家族の問いかけに反応。現在も病院で療養中だが、普通に会話ができるまで回復しているという。

 ◆砂糖にエネルギー、しょうゆに塩分も

 ○… 「焼肉のタレ」のテレビCMなどで知られるエバラ食品横浜市)によると、「タレには砂糖が入っていますので、それがエネルギーに代わるものかと思います。ほかにもしょうゆなどの塩分も入っています」と説明。生きていくために必要な水分と、エネルギー補給が、極限状態での生命維持につながったようで、同社では「我々としましても、一命をとりとめられたことが何よりも幸いなこと」と、喜んでいる。

(2006年12月12日06時01分 スポーツ報知)
http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20061212-OHT1T00035.htm