龍郷の女性死亡:変死から2週間 凶器は見つからず /鹿児島

 龍郷町幾里で貴島ヒデ子さん(当時78歳)が自宅で首から流血し死亡していた変死から、11日で2週間が経過した。県警は捜査本部を設置し、これまで延べ約1470人の捜査員を投入したが、解決の糸口となる凶器の刃物は見つからず、依然、事件と自殺の両面で捜査している。

 調べでは、10月28日午前5時55分ごろ、布団の上で死亡しているヒデ子さんを、隣の部屋で寝ていた夫明治さん(89)が発見。首を左から右に一突きで、失血死だった。

 捜査本部は、凶器の発見を急ぐ。同居の明治さんや近くに住む親族らから事情を聴いたが、刃物に関する情報はないという。5日は潜水士が近くの海を潜ったが、何も見つからなかった。6日には奄美北部で大雨があり、土砂が川や海に流入。住民の多くも浸水被害に遭い、捜査をさらに難航させたという。

 ヒデ子さんは地元で「ユタ神」と呼ばれる霊能者で、普段から複数の人の出入りがあったという。捜査本部は、集落の住民やユタ関係者にも聞き込みし、事件前に「神様の家はどこか」と聞いた白い自転車に乗った男の目撃情報などを確認。関連を調べている。

 捜査幹部は「殺人事件であれば、土地勘のある人間でなければ難しいのでは」。近くに住む50歳代男性は「早く解決してほしい」と不安を漏らした。【村尾哲、神田和明】

毎日新聞 2008年11月11日 地方版
http://mainichi.jp/area/kagoshima/news/20081111ddlk46040517000c.html