地震

丹波山地地震活動異変 微小地震減少、岩盤のひずみ増加
 大阪北部から琵琶湖西岸にかけて連なる丹波山地地震活動に異変が起きている。微小地震の回数が少なくなっており、阪神大震災(95年、M7.3)の数年前にみられた現象と似ているという。また、岩盤のひずみも03年以降増加している。多くの地震学者が注目しており、5月に千葉市である地球惑星科学関連学会で、同山地の異変に焦点を当てた異例の分科会も予定されている。
 京都大防災研究所の片尾浩・助教授(地震学)は丹波山地での無感地震を含む全地震数を調べた。その結果、00〓02年は年間平均で約2400回だったのが、03年は1332回、04年も1623回と低いレベルだった。阪神大震災が起こる前の92〓94年前半にも、地震活動が、それ以前に比べ低下したという。片尾助教授は「いつ、どこで発生するか分からないが、活動の低下期間から考えるとM7級の地震が起きる可能性はある」と話す。
 一方、地震を引き起こす岩盤のひずみ(縮み)も03年を境に顕著になっている。京大防災研の森井亙助手(地殻変動)によると、天ケ瀬観測室(京都府宇治市)では、岩盤が圧力によって南北方向に縮んでおり、その長さは03年以降、それ以前の約2倍に増加。他の2カ所の観測所でも同様の現象が見られた。 また、丹波山地ではM6.5級の大地震が約300年間隔で発生しているが、その間隔が短くなっている可能性を指摘する研究もある。
 防災科学技術研究所茨城県つくば市)の松村正三・総括主任研究員(地震学)は、M4以上の比較的大きな地震が、70年代以降はそれ以前の2倍以上の年間1.5回に増えていることに着目し「地震を起こす力が丹波山地に集中しつつある」と指摘。計算上、約100年間隔に狭まっているという。 京大防災研の梅田康弘教授(地震学)は「今は南海地震が近づいており、西南日本全体が地震の活動期にある。大地震が発生する恐れもあるため、市民は地震への備えを徹底してほしい」と呼びかけている。【河内敏康】毎日新聞 2005年4月13日 3時00分