夢記

祖母の家はどこかの都市の下町にある。私が祖母の家を訪ねるとだれもいなかった。祖母の家では昔殺人事件が起こっていた。殺人事件の現場にひとりで寝るのは気色が悪いと思っていると、母が現れた。「今日は、どこに寝る?」というので、家で寝ると言った。私の家は東京にあるらしいのだが、いつの間にそんなところに家ができていたのかは分からない。
車に乗って、何車線もある大きな道を走っていたらだんだんと緑が多くなり、山がちの場所についた。途中、「春口市」と道の案内板があがっていたので、自分の家はそういう所にあるらしいことがわかった。
車の中から土手の斜面に青銅製の神像が二つ並んでいるのが見えた。何の信仰かはわからないが、関東は知らないものがある、と感心した。
車をおりるとすぐ塚のようなところがあって、そこに多くの自然石の墓石が雑然と並んでいた。墓石の銘文をみると、「摂津国○○郡○○村」という私がよく調査をしていた地域の出身者の墓であることがわかった。名前を見ると、浄瑠璃太夫かなにからしい。よく見ると「摂津国○○郡○○村」の周辺地域出身者の墓石がたくさんある。
むかしはこの辺は浄瑠璃が盛んで、関西から浄瑠璃の一座がよく来ていた、ということを誰かか聞いた。
歩いてみると、一般の墓があった。ちょうど盆で、みんなが墓にろうそくを供えていて非常に美しい。写真を撮ってみるのだが全然うまく写らない。
一般の墓の外れにある藪に入ってみるとここにも自然石の墓石がいくつか転がっていた。一つの倒れた墓石を転がしてみると、「四天王寺大工中」と書いてある。墓石を転がして一生懸命写真を撮った。