ロシアの元日本兵

日本兵の上野さん、ウクライナに出発
2006年04月28日12時16分

 ウクライナから63年ぶりに一時帰国していた岩手県洋野町出身の旧日本兵、上野石之助さん(83)が28日昼、10日間の日本滞在を終えて成田空港からウクライナへ向けて出発した。

 付き添いの長男アナトリーさん(37)とともに搭乗手続きを終えた上野さんは、「新しい家ができて、道路もきれいになって、故郷の外見は自分の思い出とはすっかり変わっていた。美しい、すてきな国になった日本を見ることができた」と短い滞在を振り返った。

 空港には弟の左舘丑太郎さん(81)と妹のタケさん(69)も見送りに訪れた。「弟妹にあえるなんて思ってもいなかった。また帰りたい気持ちはあるが、年だからたぶん無理だろう」。20日に岩手入りして再会を果たしたばかりの弟妹たちと、目に涙をにじませて別れを惜しんだ。

 上野さんは樺太終戦を迎えた後、現地で暮らしていたが、58年に消息が途絶え、00年に戦時死亡宣告が確定した。東京家裁は滞在中に上野さんと面接して宣告の取り消しを決定し、削除された戸籍は近く回復される。

日本兵上野さん 念願の両親墓参

2006年04月22日
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両親の墓前に手を合わせる上野石之助さん=洋野町で(代表撮影)

 63年ぶりに洋野町に帰郷したウクライナ在住で旧日本兵の上野(うわの)石之助さん(83)は21日、念願だった両親の墓参りをした。

 同日午前10時すぎ、上野さんは滞在先のおいの幸夫さん方から、約100メートル離れた墓地まで親族らと歩いて向かった。

 上野さんの帰りを待ちわびながら死去した母親らの墓に、上野さんは線香を供え、黙って手を合わせた。傍らの墓誌には、00年に戦時死亡宣告が確定した上野さん自身の名前も刻まれていた。その後、約30分かけて、同墓地内の親族の墓にもお参りした。

 上野さんは墓参後、報道陣に「言葉にならない。心の中に母に対してとても申し訳ないという気持ちがずっとあり、それをわびた」と語った。
http://mytown.asahi.com/iwate/news.php?k_id=03000000604220003