透明マント実現できる? 「見えなくする」理論確認

2006年10月19日23時40分

 かぶれば姿が見えなくなる「透明マント」実現の第一歩?――米デューク大など英米の研究グループが、特殊な微細構造の金属素材で物体を囲うことにより、物体に当てた電磁波を反射させずに裏側へ迂回(うかい)させる実験に成功した。ものが見えるのは、電磁波の一種である光が当たって反射し、目がその反射光をとらえるからだ。この反射がなければ何もないように見えるはず、という発想を確かめる試みだった。19日発行の米科学誌サイエンスに論文を発表する。

 実験の基となった発想は、欧米の別の研究グループが今年5月、「理論的には物体を見えなくする素材は作れる」と同誌に発表した。物体から反射光が返らないと、目が物体の存在を認識できず、あたかも物体が透明になったようにみえる、との理屈だ。

 今回のグループは、物体に当てた電磁波をねじまげて反射させずに、裏側へ迂回させるような特殊な構造の素材を考案。その素材で囲んだ直径約10センチの銅製の円筒に電磁波を当て、反射を大幅に抑えるのに成功した。

 完全に見えなくするためには、反射する光のすべての波長を迂回させる必要があるため、今回の実験成果のままでは「透明マント」の実現は遠い。ただし、レーダーを無力化する技術に応用するため、米軍が研究しているとも言われている。
http://www.asahi.com/national/update/1019/TKY200610190423.html