論文捏造、大阪大教授を懲戒解雇

2006年12月20日20時29分

 大阪大生命機能研究科の杉野明雄教授(63)が米国の専門誌に投稿した論文のデータを捏造(ねつぞう)していた問題で、同大は20日、杉野教授を同日付で懲戒解雇処分にしたと発表した。処分理由について「科学者として決して行ってはならない著しく反社会的な行為をした」などと説明している。

 問題の論文は、米国の生化学誌「ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー」に7月に掲載された2本で、酵母菌を使ってDNA複製にかかわる酵素の働きを調べたもの。

 共著者の助手らがデータ改ざんに気づき、生命機能研究科の研究公正委員会に申告。同科は今年9月、杉野教授が単独で捏造や改ざんをしたと認定し、「懲戒解雇が相当」とする処分案をまとめていた。

 これに対し、杉野教授は処分の取り消しを求め不服を申し立てたが、同大不服審査委員会は「研究科の調査報告書や教授会の決定は妥当」などとする審議結果を同大の理事や学科長らでつくる教育研究評議会へ提出。これを受け、同評議会が同日懲戒解雇を決めた。

 同大は、杉野教授が02年に同じ専門誌に発表した別の2論文についても不正の疑いがあるとして調査している。

 会見した馬越佑吉・副学長(研究推進担当)は、「大学をあげて研究公正の強化に取り組むさなか、大学の名誉と信用をおとしめた」と話した。
http://www.asahi.com/national/update/1220/OSK200612200063.html