地球生命の源、隕石から? 原始太陽系の有機物発見

2006年12月01日
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隕石の一部の透過電子顕微鏡写真。中が空洞になった有機物が白い輪のように見える。白い横棒の長さは1万分の2ミリ=サイエンス誌から

 カナダ北西部の氷原に落ちた隕石(いんせき)の中から、約46億年前の太陽系誕生当時に形成されたと考えられる有機物が見つかった。米航空宇宙局(NASA)ジョンソン宇宙センターの中村圭子研究員らのチームが、1日発行の米科学誌サイエンスに論文を発表する。地球上の現在の有機物とは組成に大きな違いがあり、太陽や惑星が生まれつつあった原始太陽系の一番外側の区域で形成され、当時のままの形で保存されていた可能性が極めて高いという。

 地球で最初の生命が誕生した際に材料になった有機物は、隕石などが地球外からもたらしたという説がある。原始太陽系に存在していた有機物の組成などが詳しくわかれば、生命誕生の謎を解く重要な手がかりになると期待されている。

 この隕石は00年1月18日にカナダ北西部のタギッシュ湖畔に落下した。隕石中の有機物が地球の環境に汚染されていない状態で取り出せると考えられていた。

 中村さんらのチームは隕石を透過電子顕微鏡で詳しく観察。球形で中が空洞の有機物を26個見つけ出した。

 その有機物には、ふつうの窒素より中性子が1個多い窒素15が地球の有機物の1.2〜2倍、ふつうの水素より中性子が1個多い重水素は同2.5〜9倍も多く含まれていた。

 この特徴は零下260度前後の極寒の環境でこれらの有機物ができたことを示しており、研究チームは、原始太陽系の最外側の区域で形成されたと結論づけた。
http://www.asahi.com/science/news/TKY200611300405.html