秋田の「博士」教諭募集に全国から57人 就職難が背景

2008年02月21日

 秋田県教育委員会が、教員免許がなくても「博士号」の資格を持つ人を小・中・高校の教員として採用しようと「若干名」を公募したところ、全国や海外から57人の応募があった。県教委は「これだけの人が秋田まで来ようとしてくれるとは」とびっくり。背景には博士号取得者の就職難もあるようだ。

 教育現場に多様な人材を配置することで学校を活性化させようと、県教委が初めて公募した。文部科学省によると、全国初の試みという。

 今月1日から15日までの募集期間に応募したのは、県内5人に対し、県外は52人。北海道から長崎県まで各地に広がり、台湾や米国在住の日本人も1人ずついた。

 県教委はホームページに募集案内を出したほか、首都圏を中心に約30大学にメールで告知もしたが、どれだけ応募があるか不安だったという。

 専攻分野では理学・工学系が38人、農学が16人と理系が多く、ほとんどが大学の非常勤職員や研究員、研究補佐員。年齢制限の上限(39歳)に近い30代後半が目立ち、応募書類に「これまでの研究を生かしたい」と書いた人が多かった。

 こうしたことから県教委は、大学教員の正規採用の門が狭いために、博士号を取得しても安定した研究職につけない「ポスドク(ポストドクター)問題」が背景にあるのでは、とみる。

 21日には書類選考の結果が発表される。その合格者には面接や小論文の審査があり、3月11日に採用者が決まる。
http://www.asahi.com/edu/news/TKY200802200437.html