「呼吸器外し」の「事件」

なかなかこの事件に関してコメントするのは難しい。
死にそうな人に添い寝をするとか、死に水をとるとか、そういう儀礼の中で死ぬことをとらえていくのか、死ぬのが分かっていてもあくまで生かすことに拘泥して死にゆく過程での儀礼を無視するのか。わたしは、前者の方がよいと思われる。新聞では、この外科部長に感謝している人がおおいそうだが、罪に問われることになるのだろうか。

呼吸器外し 外科部長「別れの時間作ろうと」

2006年03月29日23時36分

 富山県射水(いみず)市の射水市民病院で患者7人が人工呼吸器を外され、死亡した問題で、29日午前、取り外しについて「家族の同意を得た」「別の医師と相談して決めた」との見解を明らかにした外科部長(50)は、午後までに複数回取材に応じ、自身の行為を「外してもすぐに患者は死に至るわけではない。別れるまでの時間が誕生する。そういう貴重な時間を作る思いだった」と説明した。

 外科部長が取り外し7事案全部にかかわったとした病院側の説明については「1件は別の医師が外し、私はかかわっていない」と反論した。

 患者側の同意書については「書面で担保になるものを取らせていただくのはその場にはふさわしくないというか、体面が悪いというか」と改めて説明。「慎重さが欠けてはいけないと努力したつもりだが、消極的安楽死が公に認められる条件をクリアするのが難しかった」と振り返った。

 人工呼吸器を外し、延命治療を中止する判断については「救命できないと分かった段階で患者のほとんどは脳死状態になっているのが現実だ。患者の気持ちを考え、次にできることを考えた。何ら恥ずべき行為ではない」とし、「外してから心停止までの数分間、患者の口に水を注ぐ家族がいた。徐々に過ぎていく時間は家族にとっても大事だと思う」と語った。

 「医学とは」との質問には、「笑われるかもしれないが、愛だ。大事なのは心電図ではない」と答えた。

 一方、同日夕に記者会見した麻野井英次院長は、外科部長が「他の医師と協議した」とした点について「外部の意見を含めて対策を取ったのか。複数の医師といっても、対等に意見を言えるもの同士だったのか。私が調べた範囲では不十分ではないかと考えた」と反論。かかわったのは「6事案」との説明については「外科のトップとして全部の方針決定にかかわっていたと判断した。具体的には把握していない」と話した。