東和大、存続の瀬戸際

2006年08月25日
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会見する山崎正行常務理事=福岡市南区

 福岡市南区東和大が創立40周年にあたる来年度の学生募集停止を決めた。少子化などで学生の確保が難しくなったためだ。大学側はこの間に対立する教授らの解雇を進め、新たに生き残り策を模索する構えだが、私大経営をめぐる状況は厳しい。在校生が卒業する09年度末の後も存続できるのかどうか。同大は、瀬戸際に立たされている。

 「40年続いた大学を簡単にはつぶせない。早く募集を再開したい」。大学を運営する学校法人・福田学園の山崎正行常務理事は会見で、存続に意欲を示した。文部科学省によると、福田学園の福田庸之助理事長らが22日提出した報告書には「在校生の卒業を待って廃止する予定」と記されている。だが、大学側は「報告書にひな型があり、そう書く必要があった」と廃校を決めてはいないとの説明だ。

 同大は05年度に赤字に転落し、06年度には創立以来初めて入学者が定員に達しなかった。少子化や学生の理系離れの中、工学部単科のままでは学生確保は難しいと判断。文系学部設置などの学部改編案を教授会に提案したが、反対を受けて断念した。対立が続けば改革を進められず、赤字が拡大すると考え、募集停止を決めたとしている。

 だが、同大教授で教職員組合の斎藤輝二委員長は、早期の募集再開をめざすという方針について「前日の交渉の席では報告がなく、急にニュアンスが変わった」と指摘。「教員の雇用や学生のことを考えると決定は許されない」と話す。教授会は24日午後、募集停止の決定に反対することを改めて確認した。

 全国の私大の経営状況は厳しさを増している。日本私立学校振興・共済事業団(東京)のまとめによると、今年度、全国の4年制私大550校のうち、定員割れは222校と約4割に上り、過去最高となった。4年制では、03年に広島県の立志舘大が休学(04年に廃学)したほか、萩国際大(山口県萩市)が05年6月に民事再生法を申請し、新しいスポンサー企業のもとで経営再建に取り組んでいる。

■山崎常務理事の会見

 山崎正行・福田学園常務理事の会見の主な内容は次の通り。

 ――どうして募集停止を決めたのか。

 18歳人口が減り、工学部に人気がない。九州の子が福岡ではなく東京に出るようにもなった。奨学金などでダンピングしていたが、今年入った学生は留学生を除くと120人。05年は180人、04年は220人。来年は100人を割ると予想できた。定着率も悪く、毎年40〜50人が辞める。

 ――学部再編ができなかったのは。

 教授の雇用確保のために収入を増やそうと新学部の案を出したが、否決された。大学の赤字は05年度で1億円。学園内でやりくりするから、大学単独ではもっと前から実質赤字だった。黒字の系列校からは、大学が改革されないことに反発が強い。40年続いた大学を簡単にはつぶせない。混乱を正常化させ、早く募集を再開したい。

 ――教授会との対立があるようだが。

 我々はもっと話し合いたかった。過去5年で1本も論文を書かない教授もおり、全員を雇用するのは無理。職員は最近、10人ほど退職してもらった。教授も早い時期から解雇したい。
http://mytown.asahi.com/fukuoka/news.php?k_id=41000000608250002