有栖川宮詐欺で懲役2年2カ月の実刑 東京地裁

2006年09月11日11時43分

 大正時代に途絶えた皇族「有栖川宮家」の継承者をかたって結婚披露宴を開き、招待客から祝儀をだまし取ったとして、詐欺罪に問われた無職、北野康行被告(44)と同、坂本晴美被告(47)の判決が11日、東京地裁であった。大島隆明裁判長は「皇室、皇族を崇敬する参会者の心情に巧みに付け入り、踏みにじったもので悪質だ」と述べ、懲役2年2カ月(求刑・懲役3年)の実刑を言い渡した。

 弁護側は「北野被告は皇族のご落胤(らくいん)であるか、そうであると信じていた。詐欺は成立しない」などと無罪を主張していたが、判決は「3代にわたり皇族と血縁があったとは認められない」と指摘した。

 判決によると、北野被告は宮家とは関係がないのに「有栖川識仁(さとひと)」を名乗り、03年4月に東京都内で、坂本被告と結婚したと偽って結婚披露宴を開催。招待客61人から計約290万円の祝儀と絵画をだまし取った。

 検察側は被害者数を2度にわたって絞りこむ訴因変更をした。判決は「被害者には宴席で自分を売り込もうとした者もいないわけではない」と指摘し、皇族関係者でないと知っていた76人については詐欺罪の成立を否定し、一部無罪とした。
http://www.asahi.com/national/update/0911/TKY200609110059.html