新快速、敦賀へ一番電車 地元高まる期待 福井

2006年10月21日15時04分

 JR西日本のダイヤ改定で新快速の運転区間北陸線敦賀駅福井県敦賀市)まで延長され、21日、一番電車が到着した。大阪まで(米原経由)直通運転で平均2時間5分と通勤圏になり、地元は地域振興の夢を抱く。ただ、そもそも乗客の少ない区間だけに、JRは長期的な効果を狙っている。
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関西方面からの新快速一番列車がJR敦賀駅に到着。ホームでは地元の子どもたちが一日駅長として出迎えた=福井県敦賀市鉄輪町1丁目で

 午前9時51分、銀色に青帯の車体が敦賀駅のホームに滑り込み、ほぼ満員の列車から観光客らが降り立った。テープカットした西川一誠・福井県知事は「県南部が関西と都市型鉄道で直結された」と喜んだ。

 敦賀は歓迎ムード一色だ。NPO法人や商店主らが呼びかけて市民サポーターを組織。胸に赤リボンを付けて駅前のゴミ拾いや観光客の道案内、写真撮影に取り組む。

 新快速は91年、長浜駅滋賀県長浜市)に乗り入れ、地元に大きな効果をもたらした。89年にオープンした観光施設「黒壁スクエア」は、90年度に年間約20万人だった入場者数が昨年度は約174万人にのぼった。

 敦賀市の河瀬一治市長も「京阪神からの観光客を増やし、地域活性化につなげたい」と期待するが、有名な観光地が少ないうえ、駅前商店街には空き店舗も目立つ。「関西に人口が流出してしまうのではないか」(市幹部)との不安もある。

 一方、JR西日本は「成果が出るには一定の時間が必要」と慎重だ。地元の強い要請で、北陸線琵琶湖線の一部区間の送電方式を京阪神地区と同じ直流に切り替えたが、直流化された区間の駅の乗客数は、敦賀駅を除いていずれも1日平均千人未満にとどまる。

 14年度末には北陸新幹線が金沢まで開業し、福井から東京への所要時間も短縮される。同社の山崎正夫社長は「福井と異なり、敦賀は新快速乗り入れで関西に引き寄せられるのではないか」と、関西圏の広がりに期待を寄せている。
http://www.asahi.com/life/update/1021/004.html