六甲山生還:打越さん、焼き肉のたれ「食べられなかった」

遭難当時の様子を語る打越三敬さん=神戸市中央区の市立中央市民病院で19日、森園道子写す

 神戸市の六甲山で10月に行方不明になり、24日ぶりに救出された兵庫県西宮市職員、打越三敬(みつたか)さん(35)が19日、奇跡的に回復して神戸市中央区の同市立中央市民病院を退院、生還までの状況を初めて語った。

 打越さんは10月7日、同僚らと六甲山へバーベキューに出かけ、1人で徒歩で下山中に高さ約10メートルのがけから転落。骨盤を骨折し、歩けなくなった。近くの川まではって水を飲み、リュックサックに入っていた焼き肉のたれをなめた。しかし、「数滴試したが、食べられたものではなかった」という。翌日の昼以降は記憶がなく、もうろうとした意識の中で「自分は死んだのでは」と思うこともあった。

 発見時の体温は22度で、同病院の佐藤慎一救急部長は「もっと体温が下がり死亡していても不思議ではない。冬眠のような状態になったため、助かったのではないか。ここまで回復するのは極めてまれ」と話した。救出後、心肺停止状態に陥ったこともあったという。【竹内紀臣】

毎日新聞 2006年12月19日 21時07分
http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20061220k0000m040086000c.html