◎震災から輪島塗に「新彩」 機械停止で椀に模様 輪島・稲忠漆芸堂

 輪島市河井町の稲忠漆芸堂工場で、乾燥中に能登半島地震が起き、放置されていた椀(わん)に、漆がにじみながら流れたような模様が生まれた。同社は「人の手ではできない奇跡的な作品」として、「震災」にかけて「新彩椀(しんさいわん)」と名付け量産化の研究に乗り出した。輪島の漆器業界に打撃を与えた地震が思わぬ置きみやげをもたらした格好だ。

 独特の模様が表れたのは、上塗りを施した器を回転させながら乾かす「回転風呂(ぶろ)」に入れてあった椀。二色の漆で表現する「ぼかし」を施し、先月二十五日に取り出す予定だったが、地震後の混乱で風呂の中に放置されていた。この間、機械の回転や、温度・湿度を調整する機能は止まったままだった。

 約三日後に職人が風呂を確認したところ、多くの椀は漆が縮んだりごみが付いていたが、三十個中、七個の表面にきれいな模様ができていたという。
http://www.hokkoku.co.jp/news/TR20070417702.htm