進路変更や意欲低下、私大中退5万5000人…全国初調査

 全国の私立大学で1年間に中途退学した学生は約5万5000人にのぼることが、文部科学省の外郭団体の調査で分かった。
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 私立大の中退者数の実態が明らかになったのは初めて。大学全入時代を迎え、各大学による学生の獲得競争が激しくなっているが、学生がキャンパスを去らないような入学後の支援策も課題となりそうだ。

 私立大の中退者の動向に関心が高まっていることから、「日本私立学校振興・共済事業団私学経営相談センター」が、昨年実施した2005年度「学校法人基礎調査」に中退に関する項目を加え、回答をまとめた。

 大学院大学などを除く、ほぼすべての私立大550校の中退者は5万5497人。在籍した学生約193万人の2・9%にあたり、国立大の中退率1・6%(内田千代子・茨城大准教授調べ、04年度)を上回った。

 学年別では、留年などで卒業が困難になった4年生が1万6370人と最も多く、続いて2年生1万6199人、1年生1万2503人。男女別では、男子が4万945人で全体の7割を占めた。

 在校生の1割が中退した大学も4校あった。難関大ほど中退率は低く、小規模で定員割れなどの問題を抱える大学ほど学生が定着しない傾向があるという。

 理由で最も多いのは、「進路変更」(21%)。本意でない大学に入って満足できず、在籍したまま志望校を目指すケースが増えており、根強いブランド校志向を反映している。「経済的困窮」(19%)や「就学意欲低下」(14%)も多く、保護者の失業などで家計負担に対応できないケースが目立っている。

 同センターの西井泰彦センター長は「学校に満足できないのは、入試段階での不一致やつまずきなどにも原因がある。どんな学生でも定着できる体制づくりが必要だ」と話している。
(2007年5月20日9時42分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070520it02.htm