1人だけ厳格処分は平等原則に反する 助手の処分取り消し 

 神戸大大学院医学系研究科の助手の男性が行った研究費の不正経理に関して、平成15年3月に同大学が下した懲戒処分(減給10分の1、1カ月間)は違法として、同大学に処分を取り消すよう求めた訴訟の判決が22日、神戸地裁であった。橋詰均裁判長は「全体として非行事実と罰との間の平等原則が維持されていないことが明らか」として原告側の訴えを認め、大学に懲戒処分の取り消しを命じる判決を言い渡した。

 橋詰裁判長は判決理由で「取り扱いの不平等は偏った不合理な調査手法を採用した結果生じたもので、国家公務員法に定められた平等原則に反する」とし、「合理的な調査方針に基づいて明確な基準の下に処分をしたもので不平等はない」とする大学側の主張を退けた。

 判決文によると、男性は当時、大学生協に故意に架空発注をして不正取得金を生協に預け、ほかの物品購入に充てるという手口で200万円余りを不正に取得していた。大学側は同様に不正経理をしていた教授ら計34人のうち、旅費の二重取得と研究費の目的外使用があったと判断した男性ら2人について懲戒処分、32人は軽い訓告処分とした。

 しかし、ほかの被処分者に対するのと違い、男性に対しては申立書などの弁明書類の提出機会を与えなかった。また、他の被処分者の使途不明金は調査しておらず、不正購入金額の少ない男性が懲戒処分されていた。

 橋詰裁判長は判決文の中で「他教授に対する懲戒処分を誤っただけで原告に対する懲戒処分が誤りでないと解することは、他教授に改めて懲戒処分を科す仕組みがない以上、正義に反する」と指摘した。

 神戸大の出澤忠総務部長の話 「判決文をよく読んで今後の対応を決める」

(2007/05/23 03:02)
http://www.sankei.co.jp/chiho/hyogo/070523/hyg070523000.htm