国立大交付金、競争原理で再配分なら74大学で減額

 国立大学の運営資金として国が支出している「運営費交付金」について、財務省は21日、研究成果などに応じて再配分すると、全87大学の85%にあたる74大学で交付金が減額されるとする試算を発表した。
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 大学の定員など主に規模に基づく現在の配分を、各大学の実績や努力を反映する方法に改めた場合の影響を探る狙いだ。ただ、再配分で交付金が減るとされた多くの大学が反発するのは必至で、交付金のあり方をめぐり論議を呼びそうだ。

 05年度の国立大学法人決算によると、運営費交付金は1兆586億円と、国立大の経常収益の45%を占め、付属病院収益(27%)や授業料などの学生納付金(15%)を上回る最大の収入源となっている。

 財務省は、国立大予算を効率的に使うために、運営費交付金を、成果や実績に基づく配分に大胆に改める必要があるとし、財政制度等審議会財務相の諮問機関)に提出した資料で試算をまとめた。配分に競争原理を導入すれば、国立大の研究・教育レベルの向上も見込めるとみている。

 試算は、各大学が研究・教育活動に積極的に取り組んでいるかどうかの尺度として〈1〉価値があると認められた研究が対象の科学研究費補助金科研費)〈2〉大学独自の教育・研究内容に応じて配分される特別教育研究経費――が各大学にどのように配分されているかを使った。

 運営費交付金の配分を科研費の比率で再配分すると、多くの研究テーマが認められ、多額の科研費を獲得している大学への配分が増え、研究の少ない大学は配分が減る。

 試算によると、現在より配分が増えるのは〈1〉東京大学〈2〉京都大学〈3〉東京工業大学など、わずか13大学と全体の15%で、残りの74大学は減額となる。

 トップの東大は112・9%増と交付金が倍増するが、最も減額が大きい兵庫教育大学では90・5%減と、現状の約1割に減る計算だ。研究よりも、教員育成が主な目的である教育大学に大幅な減額が集中しているのも特徴だ。

 特別教育研究経費の配分を尺度にした試算でも、増額は34大学で、全体の40%にとどまっている。
(2007年5月22日1時34分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070521i115.htm