丹波市の古文書や建造物、全面調査を開始へ

2007/05/25

 地域に残された史料の保存と活用を進めようと、丹波市教委は近く、古文書や建造物を対象に「悉皆(しっかい)調査」(全面的な調査)をスタートさせる。旧町時代を含め、初めての試み。市内全域での実施を計画しており、市教委は地域にある史料の情報提供など、市民に協力を呼び掛けている。(仲井雅史)

 丹波市内には、山南町・石龕(せきがん)寺が所蔵する南北朝動乱期(十四世紀)の足利尊氏関連文書など、多くの貴重な史料が残されている。一部は県史や町村誌(志)に収録されているが、悉皆調査は行われていなかった。

 特に江戸・明治時代の村の様子を記録した史料の所在や内容は、ほとんど確認されていないという。調査を機に解読が進めば、村の組織運営や人々の生活の様子を生き生きと知ることができる。

 一方、建造物は社寺が中心だが、指定文化財以外に範囲を広げ、古民家や近代洋風建築の把握にも努める。人々の信仰や生活、西洋文化受容などの解明が進むことが期待される。

 調査は、神戸大学など歴史学、建築史の研究者に協力を依頼し、市内で随時実施。文化財の所在を確認、内容を分析し、地域への還元を目指す。

 市教委では「地域の大切な歴史遺産であるとの認識を住民に深めてもらい、保存や地域での活用につなげたい」と話している。
神戸新聞http://www.kobe-np.co.jp/chiiki/ta/0000350660.shtml