「一人っ子政策」で暴動 数千人が庁舎に放火 中国

2007年05月31日00時54分

 中国広西チワン族自治区博白県で地元政府の「一人っ子政策」の違反取り締まりに住民が反発し政府機関の建物を壊すなどした事件で、近接する県でも29日、数千人の住民が政府庁舎に火を放つなどして治安当局と衝突したことがわかった。死者が出たとの情報もある。

 住民などによると、容県の三つの鎮(町に相当)で29日午後、数千人の住民が鎮政府の車両や庁舎に火を放つなどした。香港紙「蘋果日報」は住民と公安当局の衝突で100人以上がけがをしたと伝えた。

 楊梅鎮では治安当局が住民を追い払おうとした際、複数の住民が警察犬にかまれるなどしてけがをした。衝突で男性1人が死亡したとの情報もある。同鎮政府の職員は「鎮内にはなにも異状はない」としている。

 同鎮の30代の女性は電話取材に「先月から取り締まりが厳しくなり、担当者が家に押しかけて罰金を取り立てた。10年前に生まれた子どもにも罰金を科したり、家財や食べ物まで奪ったりするやり方にみな怒っている」。別の女性は「罰金をすぐに払わないと、翌日に5割以上の滞納金を要求された」などと話す。

 容県から約90キロ離れた博白県でも今月中旬以降、10前後の鎮で同様の暴動が発生。国営新華社通信は23日、同県内の複数の鎮政府の庁舎や車が破壊され、住民28人が拘束されたと報じ、同県長の「県政府の仕事にも問題があり、住民を怒らせてしまった」との談話を伝えた。

 住民や香港紙らによると、2月に自治区が開いた一人っ子政策の関連会議で違反取り締まりの甘さが議題に上がり、名指しされた県政府は違反の取り締まりを一気に強化した。
http://www.asahi.com/international/update/0531/TKY200705300426.html