九大教授会が吉川教授「盗作」と結論

 九州大芸術工学部の吉川茂教授(57)が、別の私大教授と共同で執筆したテキスト「基礎音響学」に、英国の専門書を無断で翻訳した盗作の疑いが指摘されている問題で、同学部の教授会は「盗作と指摘されても否定し難い」として、吉川教授を懲戒処分にするのが相当との結論をまとめ、29日発表した。

 九大は今後、吉川教授への具体的な処分を決める方針。吉川教授は「オリジナリティーのあるものは引用しておらず、盗作ではない」と話しているという。

 同学部は、外部の物理学の専門家や弁護士も参加した調査委員会を昨年7月に設置。テキストと専門書を比較、分析する一方、吉川教授ら関係者に事情を聴いた。

 その結果、テキストの半分以上に類似性があり、相当部分で専門書の学術用語を直接引用したなどと判断。また、同教授が専門書の8割を無断でコピーして約140部製本し、学生に1部1000円で購入させて授業で教科書に使っていたことも「著者や出版社の権利を侵害した」と認めた。

 英国の専門書はケンブリッジ大出版局から1993年に発行された「Vibrations and Waves in Physics」。

 吉川教授は2002年に出版した基礎音響学の巻末に、この本を参考図書として紹介していたが、構成などが酷似し、英文を直訳した部分が多いなどとして、芸術工学部の別の教授らが盗作の可能性を指摘。昨年末にはケンブリッジ大出版局側からも説明を求める文書が九大に届いていた。
http://www.nikkansports.com/general/f-gn-tp0-20070629-219814.html