淀川流域委・新委員の半数直接指名…近畿地方整備局

 住民参加型で琵琶湖・淀川水系の河川整備について国側にモノ申してきた国土交通省近畿地方整備局長の諮問機関「淀川水系流域委員会」の委員(25人)改選を巡り、同整備局が、有識者による第三者組織に全員の人選を任せてきたのをやめ、半数をじかに選ぶ方式に変えることがわかった。同委員会は国のダム建設に「中止」を提言したこともあり、関係者から「整備局は国の計画に批判的な委員を排除し、言いなりになる委員会にしたいのでは」と、いぶかしがる声があがっている。

 同委員会は河川整備の考え方に「環境保全」と「住民意見の反映」を加えた1997年の河川法改正を受け、2001年に設立。委員は、弁護士や河川工学の専門家らの第三者組織が独自に選んだり公募したりした。05年の委員改選でも、この組織が人選をした。

 しかし、国が琵琶湖・淀川水系で計画中の5ダムについて、委員会が03年に「生態系に悪影響を及ぼす」と建設中止を提言したことなどから、整備局は「評判がよくない」(布村明彦整備局長)などとして、今年1月に委員改選期を迎えたのを機に活動を休止させた。

 これに批判が高まったことや、今年度中にも河川整備計画を策定するために委員会の意見を聞く必要があることから、整備局は7月中の委員改選と活動再開を決定。ただ、新委員の半分は第三者組織の声を聞かずに直接、前委員の中から再任し、残り半分も、第三者組織が候補者を絞り込んだ上で、整備局が決めることにした。このため、前委員らから「改正河川法の理念に反し、旧来の行政主導型に逆戻りさせる」といった意見書や批判が相次いでいる。

 意見書を出した前委員長の今本博健・京都大名誉教授は「国側は自分たちに都合のいい意見を言う委員会にしたがっていると思われても仕方がない」と指摘。第三者組織の議長として委員選定に携わってきた芦田和男・京都大名誉教授は「住民参加や透明性を目指した魂が失われ、看板は残っても、似ても似つかぬものになる」という。

 一方、同整備局の谷本光司・河川部長は「バランスのとれた委員構成にするため、今回は整備局で決める手法がいいと判断した」としている。
(2007年7月9日 読売新聞)
http://osaka.yomiuri.co.jp/news/20070709p202.htm