就職難博士に「求職中」マーク 応用物理学会が考案

2007年07月29日16時41分

 大学院で博士号を取得した人の就職難が深刻化するなか、国内屈指の大学会である応用物理学会(約2万4000人)が、求職中を示す「キャリアエクスプローラーマーク」を新設した。同学会は企業人が約半数を占めることから、求職中の博士らが学会で発表する際にマークを明示することで、企業への就職に役立ててもらいたいとしている。

 応用物理学会では毎回、約4000人が発表。そのうち大学での任期付き研究職など不安定な身分にある博士らは500人程度とみられる。これまでは発表時にも所属と氏名などを明らかにするだけで、その人が求職中なのかどうかは分からなかった。

 9月に北海道で開く学会では、口頭発表ではスライドの1枚目のタイトルページに、掲示発表ではタイトル付近にこのマークを表示できるようにする。学会には企業の研究所長や部長クラスも参加しているので、興味があれば、その場で「面接」することも可能になる。

 博士課程の入学者は国の大学院生倍増化計画を受けて90年度の7813人から急増。最近も1万7000人台が続いている。これに対し、博士課程を修了した人の就職率は6割程度にとどまっている。任期付き研究職の数も1万5000人を超え、その高齢化も問題になっている。

 応用物理学会の小舘香椎子副会長(日本女子大教授)は「博士の就職難は学会としても見過ごすことはできない。学会を企業との出会いの場としても活用してほしい」と話している。
http://www.asahi.com/life/update/0728/TKY200707280449.html