中世の十字架像、廃棄物入れの中で見つかる

[ 2007年08月18日 12時43分 ]
オーストリアで、約800年前の金メッキを施した十字架像が発見された (ロイター/Martina Puehringer)

[ウィーン 16日 ロイター] ナチスに奪われたまま行方不明となっていた、約800年前の金メッキを施した十字架像がオーストリアで発見された。この十字架像、廃棄物入れコンテナーの中で見つかったという。

銅とエナメル製の十字架像で、フランスのリモージュで制作されたもの。かつてオーストリアナチス支配下にあったころ、ポーランドのアートコレクションの一部として同国に持ち込まれた。

2004年、冬期行楽地のツェルアムゼー(ZELL AM SEE)にある湖付近で、廃棄物入れの中をあさっていた女性が十字架像を発見した。隣人が死亡した直後だったため、廃棄物入れは故人が所有していた物でいっぱいだったという。

「この女性は古い陶器が大好きで、このときも食器を探していて十字架像を見つけたのです。隣人の遺族に像をもらえないか聞いてみたところ、あげると言われたそうです」とザルツブルク警察の広報担当者は話している。

先月、この女性が友人に十字架像を見せたところ、何か特別な物かもしれないから博物館に持って行った方がいいと言われたという。

第二次世界大戦の準備が進んでいた頃、ワルシャワに住んでいた十字架像のオーナーは、自宅の地下室に他の物品と一緒にこの像を隠した。

しかし1941年にナチスがこれらを発見、最初はポーランド国立博物館に持ち込まれたが、その後、ツェルアムゼー近郊の町、「Bruck an der Grossglocknerstrasse」にある城に保管場所が移されたという。

「それからこの十字架像がどうなったのかは分かりません。どのようにしてツェルアムゼーに持ち込まれたのか、それも分かりません」と広報担当者はコメント。

競売に出品された場合、十字架像の値段は最高40万ユーロ(約6079万円)となる可能性があるという。