運慶:大日如来坐像が米オークションに 海外流出の恐れ

 鎌倉時代に活躍した仏師、運慶(生年不詳、1223年没)が制作したとみられる「木造大日如来坐像」が、米ニューヨークで3月18日に開かれるクリスティーズのオークションに出品される。オークションには国内の美術館も関心を示しているが、「国による入札参加は困難」(文化庁美術学芸課)などの状況から、国宝級の仏像が海外に流出する恐れが出ている。

 オークションに先立ち、東京都内のオークションプレビューで20日、仏像が公開された。落札見込み価格は150万〜200万ドル(約1億6000万〜2億1000万円)。

 03年に所有者からの依頼で調査を行った東京国立博物館の山本勉教育普及室長(当時、現・清泉女子大教授)によると、仏像はヒノキ材で表面は金色に仕上げられており、高さ約66センチ。仏像の顔つきなどの作風、内部に納められた木札や水晶から運慶作と確認した。

 文化庁によると、運慶の作品、または運慶作と推定される作品はこれまでに13件が確認されており、うち12件が国宝または重文指定を受けている。指定を受けると国外に持ち出す際に国への届け出が必要になるが、今回の仏像は所有者の同意が得られなかったため指定に至っていない。【手塚さや香
http://mainichi.jp/select/today/news/20080220k0000e040024000c.html