一夫多妻の男

『一夫多妻』男 自衛隊幹部装い脅迫

 東京都東大和市で“一夫多妻”生活に加わるよう女性が脅された事件で、脅迫容疑で逮捕された無職渋谷博仁容疑者(57)が被害女性に対し、「私は自衛隊の幹部で周りにはスパイもいる」と話していたことが二十六日、警視庁捜査一課と東大和署の調べで分かった。渋谷容疑者は自衛隊に所属した経歴がなく、身分を偽って恐怖心をあおる狙いだったとみている。

 渋谷容疑者は調べに対し「以前、夢の中に出てきた話を女性にしただけだ」と容疑を否認しているという。同課などは同日、自宅を家宅捜索して催眠術関係の多数の本など段ボール箱十数個分や自家用車を押収。ほかにも同居を迫られ、被害を受けた女性がいるとみて生活実態の解明を進めている。

 調べでは、渋谷容疑者は昨年十月二十日午後四時十五分ごろから約二時間、自宅に誘い込んだ都内の専門学校生の女性(20)に同居を迫り、「ここを出て行けば、肉をそがれてミンチにされる」「ここでのことを人に話せば、殺されたり、事故に遭ったり、病気になったりする」と脅した疑い。

 被害女性が脅されている場には、渋谷容疑者と集団生活をしている複数の女性が居合わせたとみられ、同課などは同居中の女性らから勧誘の経緯などについて事情を聴いている。

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 渋谷容疑者の自宅の家宅捜索は二十六日午前七時すぎから始まった。現場には大勢の報道陣が詰め掛け、多摩湖に近い緑豊かな住宅街の一角は騒然となった。

 捜査員たちが建物に入った約二十分後、帽子を目深にかぶり、白いマスクで顔を覆い隠した女性らが、捜査員に伴われて捜査車両三台に次々と乗り込んだ。

 近くに住む農業男性(76)は「女性の親らしい人が訪ねて、家に帰るよう説得する姿も見たことがある」と話していた。