文化財窃盗、年50〜100件 ロシアの美術館・博物館

2006年08月08日18時27分

 ロシア文化遺産保護局のボヤルスコフ長官は7日の記者会見で、ロシア国内の美術館、博物館では高価な文化財に対する窃盗事件が毎年50〜100件程度起きている、と明らかにした。

 同国を代表するサンクトペテルブルクエルミタージュ美術館では宝飾品など221点、1億3000万ルーブル(約5億2000万円)相当の盗難が起きたが、同長官は「たまたまでなく、自然の法則」とした。

 会見に同席したシュビトコイ連邦文化・映画局長官によると、90年代の経済混乱で学芸員や警備係の給料が大幅に減り、質が低下したのが最大の原因という。

 また、文化財をコンピューター登録して集中管理するといった対策も資金難から進んでいない。エルミタージュでも99年から約200万点の文化財についてコンピューター登録を始めた。しかし、作業が済んだのは15万3000点だけで、ボヤルスコフ長官は「この調子ではあと70年はかかる」と話した。

 エルミタージュの盗難事件では、昨年秋に急死した、宝飾品が属する部門の女性警備員の夫と息子ら3人が拘束され、取り調べを受けている。
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