ペレルマン氏「自分の証明正しければ賞不要」

2006年08月22日23時09分

 スペイン主要紙エルパイスは22日、米誌ニューヨーカーがペレルマン氏に行ったインタビュー内容を報じた。その中で同氏はフィールズ賞を断った理由を「自分の証明が正しければ賞は必要ない」と説明。現在の数学界や、有名になって注目される境遇に嫌気がさした気持ちを吐露した。

 ペレルマン氏は昨年12月、サンクトペテルブルクステクロフ数学研究所を辞めた後は研究の世界から姿を消し、他の研究者との連絡もほとんど絶っていた。

 「私は数学界から引退した。もうプロの数学者ではない」と言明。その理由として、「有名でなかった頃は(数学者の職業について)何を言っても大丈夫だったが、有名になると何も言えなくなってしまう。だから数学を離れざるをえなかった」などと述べた。

 同氏が論文を発表した後、それに基づき他の数学者が発表した論文に対し「自分にはどんな新しい貢献なのかはっきりしない」と不快感を表明。自分の研究を土台にした業績合戦が繰り広げられる状況になじめない気持ちを示唆した。

 同氏は現在無職で、サンクトペテルブルクの郊外で母親と生活。わずかな貯金と元数学教師の母親の年金だけが生活の糧で、「(授賞式が開かれる)マドリードに行く費用もない」という。
http://www.asahi.com/international/update/0822/020.html