大学が学生の帰省旅費を補助 「面倒見のよさ」PR

2006年11月20日12時38分

 帰省して親に顔を見せてあげて――。各地の大学で学生の帰省費用を補助する制度が生まれている。四日市大学三重県四日市市)でも今年から遠隔地への帰省費用の一部を補助する制度を導入。「面倒見のよさを内外にアピールして学生を確保する狙いもある」という。背景には、少子化で学生確保が厳しい大学の生き残り戦略が見え隠れする。

 四日市大学の補助額は、公共交通機関を使うことを条件に、北海道と沖縄県が1万5000円、東北、関東、北信越、九州、中四国地方が1万円、近畿、北陸地方が5000円。帰省を証明するため、母校を訪れて恩師や後輩に大学生活を報告し、大学に報告書を提出するよう義務づけた。

 導入のきっかけは、学生の保護者から「休みになっても帰ってこない」との声が大学に寄せられたためだ。

 現在の学生数は約1200人で、対象者は約250人。今のところ利用した学生は1人だけだが、年間の補助回数などについては今後検討する。豊田隆事務局長は「遠方の学生へのサービスに加え、高校へのPRもできる」と期待を寄せている。

 同大は88年に四日市市と学校法人暁学園の「公私協力方式」で開校。受験者数は93年度の1万550人をピークに減り続け、今年度は372人。01年度から定員割れが続き、5月1日現在の学生数は定員2446人に対し、1231人。

 98年に開校した私立九州看護福祉大熊本県玉名市)は、昨年度から帰省費用の全額補助を始めた。対象は沖縄県、北海道、東北、関東、北陸地方離島振興法に定められた地域の出身者。昨年は全学生約1500人のうち、沖縄県出身者を中心に65人が利用し、大学は約300万円を負担した。

 同大学生課は「学生の募集増につながると判断して始めた」という。「好評だが、対象外の学生からの要望が根強く、費用もお盆に集中するため高騰するのが課題」という。

 文部科学省私学部は「帰省費用の補助は全国的に珍しいようだが、大学の魅力やサービス向上が求められる時代においてPRできる部分だ」としている。
http://www.asahi.com/life/update/1120/007.html