国立大の授業料、より自由に設定 文科省、08年度から

2007年01月04日08時47分

 国立大学の授業料と入学金について、文部科学省は08年度から、大学がより自由に決められるよう制度を見直す。各大学は現在、文科省が目安として定める「標準額」の1割増しを上限に金額を決めているが、これを2割増しまでに広げる。ただ、多くの大学は受験生離れを招きかねない値上げに慎重で、実際にどれぐらい差がつくかは不透明だ。

 国立大の授業料と入学金は、03年度までは全大学一律で、物価上昇や私大との均衡を理由にほぼ2年に1度引き上げられていた。04年度から、大学の法人化に合わせて「標準額」方式が導入された。

 文科省は今年度中に省令を改正し、上限を標準額の2割増しに引き上げる。標準額自体は、各大学が定める6年間の中期計画の期間中は据え置く。中期計画は法人化と同時に始まっており、最終年度の09年度まで授業料の標準額は現行の年53万5800円となる。

 今年度の授業料が標準額を上回るのは、全87大学のうち東北大大学院の経済学研究科(会計専門職専攻)と東京農工大大学院の技術経営研究科(技術リスクマネジメント専攻)だけだ。

 法人化に伴い、各大学には「運営費交付金」が配分されている。その金額は、標準額を引き上げると授業料の改定とは無関係に減る上、05年度から毎年1%ずつ削減されている。このため、国立大学協会は標準額の引き上げについて「自律的な経営をうたう法人化の趣旨に反する」と抑制を強く要求。文科省財務省が折衝し、中期計画中は据え置き、値上げ幅について大学の裁量を増やすことで合意した。
http://www.asahi.com/life/update/0104/007.html