定員超過の国立大、補助金削減など罰則 独法化で顕著に

2007年03月08日21時22分

 文部科学省は8日、学生数が定員を大幅に上回る国立大への補助金を08年度からカットする方針を決めた。大学は学生を増やすほど収入が増えるため、私立大では定員超過がしばしば問題になってきたが、国立大でも04年の法人化後に目立っている。国立大全体の定員超過ぶりが私大を初めて上回ったため、私大に続いて補助金カットの仕組みを導入する。

 同省によると、06年春の国立大全体の入学定員の充足率は108%で、私大の107%を逆転。06年5月時点の在籍学生全体でみても、国立大87校365学部のうち、定員の130%を上回る学部が8、120%以上は36に達した。宇都宮大国際学部で定員の1.4倍が在籍するなどの例も出ている。

 学生数が定員を大幅に上回ると、学生が十分な授業を受けられなくなるなど問題が生じやすい。このため文科省も対策に乗り出し、同日東京都内であった国立大学協会(会長・相沢益男東京工業大学長)総会で、人件費などをまかなう「運営費交付金」を定員超過ぶりに応じてカットする方針を伝えた。

 国立大では、04年の法人化で財政が厳しさを増した一方、入学金や授業料が各校の直接収入になったため、合格者を増やすところが増えてきたという。ある国立大の学部長は「以前は教育の質を考えて自主規制していたが、法人化に伴い、自主財源がほしくて一人でも多く学生を入れようと考えが変わった」と話している。

 私大では入学定員の超過に伴う補助金カットの仕組みが既にあり、医歯学部が定員の104%、理工系学部などが107%、それ以外の学部は109%を超えると、学生数などによって金額が決まる「一般補助」がカットされる。07年度からはさらにカット率が拡大されるため、私大側は「国立大の定員超過も改善すべきだ」と訴えていた。
http://www.asahi.com/national/update/0308/TKY200703080260.html