<人> 丹波市の初代「恐竜課長」余田一幸さん

2007/04/07 神戸新聞

 故郷の過疎と高齢化に歯止めをかけようと奔走してきた行政マンが、恐竜の化石発掘を機に、地域おこしに立ち上がる。四月一日丹波市で発足した「恐竜を活(い)かしたまちづくり課」の初代課長になった。

 「課長、市内で恐竜の化石が出たようです」。昨年九月の夜、企画課の部下が信じられない様子で電話してきた。「恐竜の化石? こんな近くで?」。早速、発見者の一人足立洌さん(63)宅に部下を向かわせたが、半信半疑だった。

 しかし鑑定で大型草食恐竜と判明。「実は恐竜の知識はほとんどなくて、巨大なトカゲ程度にしか思っていなかった」。照れくさそうに笑う。

 丹波市の人口は約七万二千人で、一九九六年から減少。有力な地場産業はなく、山間地で高齢化と過疎化が進む。六十五歳以上の人口割合(高齢化率)は八年後に30%を超える見込みだ。

 そんな過疎の山里に突然現れた恐竜化石。普段は市民の人影もまばらな山あいの発掘現場に、連日百人単位でファンが押しかけた。「恐竜で地域おこしを」と声が上がり「企画力、指導力ともに申し分ない」(市幹部)と白羽の矢が立った。

 「恐竜が象徴する原始的な自然や、旧来の農村へのあこがれは逆に強まっている」と分析。恐竜関連の特産品開発や化石の展示会を計画する。

 企画課長と兼務だが、「丹波といえば恐竜の町、と全国のだれもがイメージできるまで“丹波竜”を育てていきたい」と意気込む。丹波市(旧市島町)出身の五十歳。
http://www.kobe-np.co.jp/kobenews/sg/0000293751.shtml