ペンタックス、条件付きTOB受託伝える トップ会談

2007年05月16日22時18分

 HOYAとペンタックスは16日、都内でトップ会談を開き、ペンタックスの綿貫宜司社長がHOYAの鈴木洋・最高経営責任者(CEO)に対して、一部役員の留任などを条件にHOYAによる株式公開買い付け(TOB)を受け入れる意向を伝えた。両社は今後も協議を続け、ペンタックス社内での機関決定や同社筆頭株主の意向を踏まえたうえで、早くとも来週中の合意を目指す。

 関係者によると、会談では綿貫社長がTOB受け入れの条件として、経営陣の一部留任や自主性の確保、光学部品・医療機器・カメラの中核3事業の一体存続などを求めたとみられる。

 これに対し、HOYA側は、ペンタックスの方針転換を歓迎しつつも、これまでペンタックス経営陣の判断が揺れ続けてきたことから「ペンタックス取締役会の総意かどうかを確認したい」と要望。綿貫社長は「自分が社内をとりまとめる」との考えを伝えたという。

 ペンタックスが示した条件について、敵対的TOBを避けたいHOYA側が一定の理解を示す公算は大きい。両社が合意すれば、6月以降にHOYAがTOBを実施し、ペンタックス株の3分の2以上の取得を目指すことになりそうだ。

 ただ、ペンタックスが存続にこだわるデジタルカメラは、ソニー松下電器産業など家電メーカーの参入で市場は激戦状態。老舗(しにせ)ペンタックスの世界シェアは5%未満と低迷しており、「3事業に全く手をつけなければ、両社の統合効果は限定的になる」(金融関係者)との見方もある。

 また、ペンタックス筆頭株主スパークスは現経営陣に批判的で、このままペンタックス経営陣を留任させたままでTOBに踏み切ることに難色を示す可能性もある。
http://www.asahi.com/business/update/0516/TKY200705160355.html