ペンタックス、HOYAの傘下に−中計見直しへ

2007年05月17日

 迷走していたHOYAとペンタックス経営統合問題。ペンタックスが発表した中期経営計画がHOYAの提案するTOB(株式公開買い付け)に代わる企業価値向上策にはならないと市場が判断したことを受け、ペンタックス経営陣は従来路線から一転、HOYAの傘下に入る。

 HOYA首脳は「一部出資などでは我々が描いている企業価値向上にはならない」と断言。ペンタックス経営陣が主張する「広い意味での経営統合」を否定していた。子会社化に成功すればペンタックスの中期計画について見直しを求める可能性は高い。

 今回の中期計画について同社に詳しいアナリストは「今までより良くないリストラ案になったのでは」と分析する。総花的なものをやめて、主要3事業に資源を集中するというものだが、「その他の事業のところで行っていたプロジェクトにHOYA首脳が求めている今後の成長のタネがあるのではないか」(同)というわけだ。

 さらに事業環境が厳しいカメラ事業で増収を目指すとする案についても「ペンタックス企業価値のほとんどがブランド価値だと思う。事業の撤退を前提に買うことはない」(HOYA首脳)として、カメラ事業は投資に見合った利益を上げられるよう構造改革する。

 合併断念から約1カ月半。ここにきてようやく話がまとまる気配を見せている。ここまで長引いたのはペンタックス経営陣の判断が遅れたからと言ってよい。決算会見では自社を「エンジニアあがりの町工場のおじさんの会社」(三橋信一郎ペンタックス常務)と自嘲。「巨大資本からのTOB外資を中心とするファンドの要求はしんどい話だ」(同)と述べたが、今回の騒動によってペンタックス経営陣は自ら信頼低下を招きつつある。
http://www.asahi.com/digital/nikkanko/NKK200705170001.html