理科離れ対策に「博士」の先生増員を 学術会議が要望

2007年06月24日14時08分

 「学者の国会」と言われる日本学術会議は22日、子どもたちの理科離れを防ぐために大学院で学んだ「博士」や「修士」の教員を増やすとともに、すべての小学校に理科専任の教員を置くことなどを文部科学省や各地の教育委員会などに求める要望をまとめた。

 要望によると、大学院を修了した教員の割合(03年)は、ロシアが89%、米国が59%、英国が24%なのに対し、日本は9%と先進国で「最低レベル」にある。

 さらに「科学的知識は年々高度化しているのに、日本の教員の科学的教養は国際的に劣っているのではないか」などと指摘。教員養成を大学の学部段階から大学院段階に高め、理系の大学院修了者を積極的に採用するよう求めている。

 一方、小学校では、理科の授業に苦手意識をもつ教員が多い(科学技術振興機構の05年調査では62%)のに、理科専任教員が全国で110人(04年度)しかいない現状も問題視。「この数では全国的な改善にはつながらない」として、すべての小学校に専任教員を配置するよう求めている。

 学術会議は昨年5月、教育学者や科学者ら13人からなる「教師の科学的教養と教員養成に関する検討委員会」を設けて議論を重ねてきた。秋田喜代美委員長(東京大教授、学校心理学)は「理科好きの教員を増やさないと、理科離れは止められない。教員の科学的教養を高めるようなシステムづくりが必要だ」と話している。
http://www.asahi.com/life/update/0623/TKY200706230294.html