『心通わす言葉』 静かに脚光 横浜で来月 世界エスペラント大会 

2007年7月16日

 国際共通言語として知られる「エスペラント」の使用者が集う世界大会が八月四日から十一日まで、横浜市西区パシフィコ横浜を主会場に開催される。百年以上の歴史があるこの大会の日本開催は一九六五年の東京大会以来、二回目。開催を前に、市内でエスペラント教室が開かれるなど、静かな盛り上がりを見せている。 (佐藤大

 「『こんにちは』は『サルートン』です」

 今月七日、簡易宿泊所の空き部屋をホテルとして利用する事業を展開している「ヨコハマホステルビレッジ」の「フロントオフィス」で、エスペラント教室が開かれた。生徒は、ホステルビレッジのスタッフたち。大会準備委員会の土居敬和さんらを先生役に、あいさつの練習を繰り返す。

 教室は昨年十一月から月一回のペースで開かれてきた。ニューカレドニアキューバなど海外からの大会参加者約三十五人が、大会期間中にホステルビレッジに宿泊することから、「エスペラントでもてなしてもらえれば」と土居さんらが開催を呼び掛けた。

 生徒の谷津倉智子さんは、「エスペラントの存在は知ってはいましたが、聞いたり、発音したりしたのは今回が全く初めて。文法がそれほど複雑でなく、合理的にできていることなどを知りました。世界中のエスペランチストとの出会いが楽しみ」と笑顔。土居さんらは大会を前に、市内の別の場所でも教室を開催している。

 世界エスペラント大会は、一九〇五年にフランスで初めて開催されて以来、戦争による二回の中断を除き、各国持ち回りで毎年開催されてきた。日本で本格的にエスペラントが広まり百年を迎えたことから日本に誘致され、横浜での開催が決まった。

 今回は五十八カ国から約千八百人が参加予定。全員がエスペラントを使用するため通訳がいらない中、会議や討論などが予定されている。大会と並行して初心者でも参加できる「横浜エスペラント週間」として、「ZAIM」(横浜市中区)などで入門講座やコンサートもある。

 “国際語”としては英語が広まっている感もあるが、土居さんは「エスペラントは、どの国の人も等しく学んで獲得する言葉。それだけに、心を通わす言葉です」と魅力を語り、「この機会にエスペラントに触れてみて」と呼び掛けている。

 問い合わせは、日本エスペラント学会=(電)03(3203)4581=へ。

 エスペラント 1887年にポーランドの眼科医ザメンホフが考案した国際共通言語。文法に不規則性がないことなどから習得が比較的容易とされ、人々が平等に交流できる「橋渡しのことば」として広がった。日本でも昔から二葉亭四迷ら知識人が関心を寄せ、日本エスペラント学会は1919年に創設された。エスペラント使用者は、世界で100万人、日本で1万人といわれている。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/kanagawa/20070716/CK2007071602032883.html