一夫多妻、男性逮捕後もなお 女性10人同居 東大和

2007年04月04日09時27分

 女性10人以上と「一夫多妻」の集団生活をしていた東京都東大和市の男性(59)が昨年1月、脅迫などの疑いで警視庁に逮捕された。男性は執行猶予付きの有罪判決を受け、現在は自宅に戻っている。男性の逮捕で崩れると思われた集団生活は、依然続いている。畑の中に立つ白い館を改めて訪ねた。

 男性宅には逮捕当時、主に20代の女性11人が暮らしていた。男性は占いで女性の心をつかんでいたが、逮捕で「いかさま」が明らかになった。判決も「性欲を満たすとともに、女性たちの収入で安楽な生活を送ることなどをもくろんだ」と男性の下心を指摘した。

 しかし、逮捕後に男性宅から去ったのは1人だけ。10人の女性が帰りを待っていた。

 男性が不在だった約4カ月間、女性たちは警視庁の事情聴取に応じながら、乳児を抱える1人を除いて普段通り仕事を続けていたという。

 男性と共謀したとして逮捕され、不起訴となった女性(27)は、釈放後1週間で男性宅に戻った。「実家に帰っても出て行けと言われた」と言う。「男性が好きだし、みんなと仲良く暮らす生活も好き。逮捕の時、みんながすぐ差し入れに来てくれて感激した」

 男性は同居女性と結婚、離婚を繰り返してきた。9番目の元妻(25)は「5年前、母とけんかばかりしていて家を出た。ここには実家にはないあたたかさがあった」と話す。今年1月、テレビ局のクルーと母親が仕事場に来たが、帰宅は拒否した。

 6番目の元妻(25)は「マインドコントロールではなく、自分たちがいたいからここにいる」と言う。3番目の元妻(27)も「迷惑はかけていない。胸をはって生きている」。女性たちは3月、「結びつきを強めたい」と、お互いを養子縁組する手続きをとったという。

 女性たちは外出時、マスクなどで顔を隠す。「好奇の視線にさらされたくない」のが理由というが、白マスクの女性が行き来する様を「気味悪い」という近所の住民もいる。警視庁東大和署は「集団での生活自体は犯罪ではない」と、黙認せざるを得ない。

 男性は公判で「女性たちには実家に帰るよう説得する」と述べた。しかし、今は「帰れと言っても帰らない。もう女性を増やそうとは思わないが、こうなった以上このまま続けてやれと思っている」と話している。

 男性は以前同様、現在も体調不良を理由に働いていない。女性たちがスーパーのパートなどで家計を支えている。
http://www.asahi.com/national/update/0404/TKY200704030356.html